Little Prince
著者 鏡 柘榴
 
 ヒック、ヒック、ヒック。
 どうして、わたしのめは、あおいの?
 ヒック、ヒック、ヒック。
『おまえ、めがあおいだろー』
 そういって、おとこのこが、わたしのめを、ゆびさして、わらうの。
 ヒック、ヒック、ヒック。
 どうして、わたしのかみは、ちゃいろいの?
 ヒック、ヒック、ヒック。
『ガイジンー』
 そういって、べつのおとこのこが、わたしのかみを、おもいきりひっぱるの。
『やめて、やめて!』
 なんどもいったけど、おとこのこたちは、やめてくれないの。
 だから、こうやって、おおきなきまで、にげてきたの。
 
 ねぇ、おおきなきさん。
 おとうさんは「どんなことがあっても、人を傷つけてはいけないよ」というの。
 わたしが、てをあげたら、おとこのこを、たたいてしまうかもしれない。
 わたしが、あしをふったら、おとこのこを、けってしまうかもしれない。
 だから、わたしは、がまんをするの。
 
 でも、ほんとうは、とってもとっても、かなしいの。
 わたしも、みんなと、なかよくしたいの。
 だけど、みんなは、わたしをさけるの。
 だって、みんなと、ちがうもの。
 
 ねぇ、おおきなきさん。
 どうしたらいいの?
 どうしたら、なかよくなれるの?
 どうしたら、かなしくなくなるの?
 
 おおきなきさんが、ざわざわと、はっぱをゆらす。
 すると、とつぜん。
 
「どうしたの?」
 
 こえのほうを、むくと、おとこのこがひとり、たっていた。
 くせのある、くろいかみ。
 おなじくみじゃない、おとこのこ。
 なふだには「かえでやますなお」とかいてある。
 
「また、かみを、ひっぱられたの?」
 こくり、とくびをふると、おとこのこは、わたしの、あたまを、やさしくなでた。
「いたいの、いたいの、とんでゆけ」
 わたしが、ないていると、おとこのこは、いつも、あたまを、やさしくなでる。
「もう、だいじょうぶだよ」
 ニッコリして、おとこのこは、わたしのてを、つないだ。
 
 おおきなきさん、いつもありがとう。
 わたしが、かなしくなると、いつも、すなおくんを、よんでくれるね。
 すなおくん、いつもありがとう。
 わたしが、さびしくなると、いつも、すなおくんが、あたまをなでてくれるの。
 
「いっしょに、あそぼうよ。ブランコしよう!」
 すなおくんは、しっかりと、てをにぎって、いっしょに、はしってくれる。
 
 とっても、とっても、うれしくて。
 ずっと、ずっと、いっしょにいたくて。
 わたしは、しっかりと、てをにぎってあげる。

「ありがとう」

 ちいさく、ちいさく、おれいをいって。


あとがき
〆切ギリが大好きな鏡です。
 
三十分で子供……誰でしたっけ? こんなシンドイ企画を考えたのは。
でも負けず嫌いなので晒してしまいます。
しかも今回は「仮面」をつけてる意味がない作品になりました。
ゴメンナサイ。
 
それでも……最後まで読んで戴き有難うございました。

Rhapsody In Blue