届かない思い
著者 音桐 奏
 
「あたしの家、とってもゴージャスなのよ」
 
 カズミは後ろを歩くアキラへと語る。
 
 その声音には完全なる優越感。
 
 アキラへと自慢したくてしょうがない。
 
 高貴な生まれであるカズミだったが、仲間たちの尊敬――特にお気に入りの召使カオルのそれを集めるのはいつも、一般民のアキラだった。
 
 だからこそどこかで格の違いを見せたかった。
 
「さ、ついたわ」
 
 犬小屋の前で優越感に浸るカズミに気づかず、明は薫と共に彼女の鎖を付け替えた。


あとがき
200字は奥が深い

Rhapsody In Blue